2-1. 温室効果ガスの概要と世界の排出状況【カーボンニュートラル教材】

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最近、よく「脱炭素」という言葉を聞くようになったのではないでしょうか。
「脱炭素」とは、地球温暖化を食い止めるために炭素利用を減らすことです。

ではなぜ炭素をへらすことが地球温暖化に影響するのでしょうか?

脱炭素化において重要な「温室効果ガス」とは?

まずは前提として、そもそもテレビで耳にすることも多い「温室効果ガス」とはなにか?から学んでいきましょう。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスとは、その名の通り、地球を温める効果を持つ気体のことです。英語では「Green House Gas」なのでGHGと呼ばれることもあります。

温室効果ガスの内訳は以下のようになっています。

IPCCデータよりE4G作成

温室効果ガスには、二酸化炭素(青)のほかに、メタン(赤)一酸化二窒素(黄)などもありますが、上図の通り、温室効果ガスの3 / 4以上を無色無臭の気体である二酸化炭素が占めています。

だから、炭素、つまりは二酸化炭素の排出量をへらそうと世界中が脱炭素化を進めているのです。

メタンも温室効果ガスの例です。
メタンは、都市ガスに使われている無色無臭の気体で、家畜のげっぷ化石燃料からの漏出などで排出されます。

私たちの食生活に欠かせない牛肉ですが、生産の過程で温室効果ガスの排出があります。そのため、廃棄せざるを得ないほど過剰に牛肉を生産すると、環境負荷が高くなってしまいます。

余談ですが、上述の通り、都市ガスの主成分であるメタンは本来においがありません。しかし、料理中にガス漏れすると臭いますよね。実は、都市ガスとして家庭に届けるときは、あえてメタンに匂いを付けることで、ガス漏れが発生したとしても、すぐに気づけるような工夫がされています。

上述したようにいろいろな種類の気体がありますが、地球を温める効果を持つ気体を総称して温室効果ガスと言います。

温室効果ガスによって地球が温暖化する仕組み

ではなぜ温室効果ガスは地球をあたためる効果をもつのでしょうか。

地球は、太陽からの熱によって温められています。一方で、地表から宇宙へ放熱もしています。大気中の温室効果ガスは放出熱の一部を吸収することで、太陽からの熱と地球からの放熱がバランスをとる役割を果たしているのです。

温室効果ガスが少ないと地球の温度は冷えすぎてしまいますが、一方で多すぎると地球は暖かくなり過ぎてしまいます。人間活動により温室効果ガスが増えたため、現在は後者の状態であるとされています。

温室効果ガスの役割

世界の二酸化炭素排出状況

以上で温室効果ガス(GHG)についてある程度理解が出来たかと思います。続いては温室効果ガスの中で最も量が多い二酸化炭素(CO2)の排出状況に注目し、その現状をご説明します。

まず世界全体での二酸化炭素排出量推移は以下の様になっています。1970年から常に右肩上がりで増え続けており、最近では350億トンを超えました。

Our World in DataデータよりE4G作成

つづいて、各国の二酸化炭素排出量を見るために、二酸化炭素排出量世界TOP5の国々の排出量推移を可視化いたします。
図上の凡例をクリックすることで、データの表示/非表示を切り替えることが出来ます。任意の国の排出量推移に注目して観察してみて下さい。

Our World in DataデータよりE4G作成

以下2点は頭に入れておきましょう。

  • 中国(赤)インド(黄)の温室効果ガス排出量が急激に増加中。
  • 日本(紫)は世界5位のCO2排出国

今後の世界の二酸化炭素排出予測

次に縦軸に各国の一人あたりCO2排出量を、横軸に人口を取った図をお見せします。各国のCO2排出量は下図の各ボックスの面積で表すことができます。

World Population Review「CO₂ Emissions by Country 2022」よりE4G作成

先進国では一人当たりCO2排出量の値(ボックスの縦幅)が大きく、途上国では小さいことが見受けられます。

現在の世界人口は約78億人ですが、今後世界人口は下図のように更に増加し、2060年頃には100億人を突破すると予想されています。

国連データよりE4G作成

人口の増加はボックスの横幅の増加を意味します。

また、途上国では生活水準が今後更に上昇するので、何も対策を取らない場合一人当たり排出量(ボックスの縦幅)も伸びることが想定されます。人口増加を止めるのは難しいので、一人あたり排出量(縦幅)を下げる活動が大事になってくるでしょう。

本節のまとめ
  • 温室効果ガスの75%以上を二酸化炭素が占める。
  • 世界の二酸化炭素排出量は一貫して増加傾向。特にインド、中国の伸びが顕著。
  • 二酸化炭素排出量をへらすための一層の努力が必要。

これにて本節は終了です。

次節では、このような状況を踏まえて世界がどのように脱炭素化目標を決めているかを説明します。